

2025年11月15日(土)
【ars●bit】GameArt プロジェクト「CÔGEIMU」プロトタイプ発表展示会&ゲームアートトーク
瞳を覗き込み、精神を探索するゲーム
アートとゲームの境界が溶けはじめる。
プレイヤーは他者の「瞳」を通して、他人の精神世界を覗き込むように自らの意識を反射させる。空洞の面頬の奥に埋め込まれたモニターに映るのは、キャラクターではなく——自分自身の「内側」です。「CÔGEIMU(コーゲイム)」は、アートピースとしてのゲーム表現を探求するプロジェクトであり、プレイヤー体験を“鑑賞”から“内省”へと拡張する試みである。
この作品は、アーティストとゲームクリエイターが共同で構築する「精神の装置=ゲーム」という新たな形式の実験として、人の内面に潜む感情・記憶・思考の構造を、インタラクティブな体験手法で可視化します。ゲームアート開発プロセスをオープンにすることにより、今後の取り組みをよりよく成長させるための展示&トークイベントです。
イベント概要
イベントタイトル:
【ars●bit】GameArt プロジェクト
「CÔGEIMU」プロトタイプ発表展示会&ゲームアートトーク
開催日程:2025年11月15日 13時〜21時
ー展示・体験:13時〜18時(申し込み不要/入退場自由)
ーゲームアートトーク:18時〜20時(お申し込み制)
ー交流会:20時〜21時(交流会参加者対象)
会場:404 Not Found(渋谷サクラステージ4階)
参加費:無料
※トークご参加の方は、ワンドリンクをご購入ください。
ゲームアートトークお申し込み参加について:
Peatix
https://arsobit-gameart-talk01.peatix.com
ゲームアートトークののみお申し込み制となります。
前半の展示・体験も入場無料で入退場自由となり、ご自由にご観覧いただけます。
展示内容
展示作品❶:
【ars●bit】GameArt プロジェクト「CÔGEIMU」プロトタイプ展示
空洞になっている面頬の瞳奥にモニターが埋め込まれており覗き込むようにしてゲームを遊ぶ。




育成対象者の作品展示❷:
カミエナ(ゲームプロデューサー・ディレクター)
※プロジェクト育成対象者
塩見亮介(アーティスト
※プロジェクト育成対象者
ゲームアートトーク:
ゲームアートトーク①:
開発進捗の発表および開発プロセスにおける気づきと課題
実施時間:18:00〜19:00

登壇者:
塩見 亮介(鍛金家)
カミエナ(ゲームプロデューサー・ディレクター)
金子 尊(プログラマー)
モデレーター:石川武志
「CÔGEIMU」は、“アートとしてのゲーム”を模索する中で、創作そのものが実験であり、対話でもある。本セッションでは、アーティストとゲームディレクターが異なる視点から同一の作品を形づくる過程で生まれた気づき、衝突、融合、そして迷いを共有する。
開発初期段階のプロトタイプをもとに、
- ゲームのルール設計とアートコンセプトの関係性
- 技術的制約がもたらす新たな表現の可能性
- “プレイヤー体験”をいかに作品性へと昇華させるか
など、制作の内部で起こっているリアルな思考の往復を公開する。
アートとゲームが交差する現場で、創造のプロセスそのものが作品になる瞬間を記録し、その実践を通じて次世代の「Art×Game」のあり方を問うセッションである。
ゲームアートトーク②
アートピースとしてのゲームアートのマーケットインの可能性と課題
実施時間:19:00〜20:00

登壇者:
塩見 亮介(鍛金家)
カミエナ(ゲームプロデューサー・ディレクター)
金子 尊(プログラマー)
高橋 洋介(キュレーター)
吉田 寛(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
モデレーター:石川武志
デジタル表現がアートの領域を拡張するなかで、“ゲーム”は新たなアートピースとして成立しうるのか。
本セッションでは、アートとゲームの双方を横断する実践者たちが、
「作品としてのゲーム」がいかに社会・経済・文化のマーケットへ入り込むことができるのかを多角的に議論する。NFTやメディアアートが生み出した所有・鑑賞・体験の新しい形を背景に、
ゲームアートが持つインタラクティブ性・時間性・共同体性をどのように再定義できるのか。また、作品を“展示する/販売する/継続的に育てる”ための仕組みづくり、そして国内外のアートフェアやコレクター市場への接続可能性についても検討する。
アートが「静的なもの」から「体験するもの」へと変化する現在、
ゲームがその文脈においてどのように**“生きたアート”**として立ち現れるのか──
本トークセッションは、その未来を探るための試論である。
参加クリエイター・登壇者紹介

カミエナ(ゲームプロデューサー・ディレクター)
※「ars●bit」プロジェクト育成対象者
“創る”だけでなく、“届ける”までをモノづくりと捉えてこだわりを持つインディーゲームクリエイター。チーム制作を得意とし、ディレクションやプロデュースを中心に、企画・シナリオ・プログラム・絵作りなど幅広く役割を担う。学生時代からモノづくり全般に興味を持ち、遊びを多角的に捉えた発想と、性別を問わず楽しめるkawaii雰囲気の作品づくりが得意。
コメント:
今回のプロジェクトでは、これまでの“データの複製”を前提としたゲーム制作とは異なり、アートとゲームの融合によって、ハードウェアや入力装置の制約に縛られない“一点物のモノづくり”という新しい可能性を感じました。また、アートを鑑賞する際、私たちは表面的なオブジェクトの奥にある作者の想いや経験を“覗き込む”ように感じ取ります。
今回はその感覚をゲーム体験へと転化し、「作品の内側を探索する」ような体験を目指しています。
日本でも伝統的な金属工芸にゲームを融合させる試みにも挑戦を感じています。金属を槌で叩き、徐々に形を生み出す鍛金家の姿はまさに“魂を込める”創作であり、八百万の神の文化観にもあるように“モノには魂が宿る”という思想をテーマとした作品にする予定です。
そして、ゲームはプレイヤーの選択や行動を通じて物語や体験が完成する“インタラクティブ作品”です。今回の作品では、単にビジュアルや音楽などのデジタルアセットによる総合芸術にとどまらず、ユーザーと作品の間に築かれる“体験や思い出”も形となり、アートの一部になるような表現にも挑戦したいと考えています。

塩見亮介(鍛金家)
※「ars●bit」プロジェクト育成対象者
日本伝統の鍛金、彫金技法を用いて、誇りや祈りをテーマとして主に甲冑様式の作品を制作。素材は銀、銅、真鍮、鉄など様々なものを扱う。1989年生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻鍛金修了。2021年 「素材転生-Beyond the Material /岐阜県美術館」、2022年「BIWAKO BIENMALE /彦根市」、2023年「日曜美術館 “現代の超絶技巧2”」その他展覧会多数。
コメント:
ゲームは、映像、文字、音の情報に、プレイヤーの時間と操作を加えて、その世界へ深く入り込むという体験を提供できる総合表現のひとつであると考えます。各要素に完成度の高さが求められますが、何よりもそれらの調和が最も難しいと感じます。加えて今回のプロジェクトは、ゲーム本体の外装が世界観の醸成に大きく関わってきます。
私がメインで担当するのはこの外装ですが、オブジェクトの成立と同時に、ゲーム世界への導入としてのアートワークの役割を果たさなければなりません。オブジェクトでもあり、ゲーム本体でもある、新たな金工作品への挑戦です。
私個人の制作でも常に新しい技法やモチーフ、技術の上達など多くの事に挑戦をしていますが、複数人で行う制作では自分だけでは取り扱わないテーマや発想と出会える事が出来ています。新しい要素を自分の世界観と擦り合わせて作品としていかに成立させられるか、大変興味深い経験です。そして、ゲームの内容と融合した結果が、プレイヤーの新たな体験に繋がれば良いと思っています。

金子 尊(プログラマー)
”日本文化の1ページ”を創ることを目標に活動する、アート・ゲームクリエイター。高校卒業後2年間の引きこもり生活の中でゲーム・日本美術・アニメに救われたことでクリエイターになることを決意。独学でプログラミング・3DCGを学んだ後、現在は都内に拠点を構えるアートコレクティブでアート制作に携わる。
コメント
僕はプログラミングを通じ、有機的な偶然性よりも、緻密に計算し尽くされた構成から生まれる論理的な美学を探求してきました。従来のデジタル制作から「鍛金」というアナログな過程に触れたことで、デジタル信号のみの表現をアナログの入出力と融合させる新たな可能性を感じています。
現在はデジタルの入出力に留まりますが、今後は有機的で予測不可能性を持つ入出力を掛け合わせたインタラクションに挑戦し、二度と同じ状況が生まれないことや、現実の人間と相対する際の制御不可能性を体験として表現できると確信しています。
また、ゲームとアートの一番の違いは、成功/失敗が明確に存在するかだと思います。しかし、作品と相対した際の反応はゲームでもアートでも鑑賞者の考え方、経験によって様々に異なります。「失敗」を「経験」と捉えるか、ネガティブに捉えるかなど、作品は相対者の内面を映し出します。アートを鑑賞した時の感想も十人十色です。作品体験を通じて得られる最も価値のある本質とは、鑑賞者自身が自分についての理解を深めたり、今後の考え方が変わるきっかけを得たりすること。その内省的な価値がゲームとアートに共通するものだと気づきました。
トークゲスト

高橋洋介 (キュレーター)
※「ars●bit」プロジェクト育成対象者
金沢21世紀美術館主任キュレーター、角川武蔵野ミュージアムキュレーターを経て独立。現在、表参道のハイファッションビルGYREのキュレーターほか、分子ロボット倫理研究会委員、京都芸術大学講師などを務める。「近代的な人間観が滅びた後の芸術」を主題に、主に1990年代以降のテクノロジーと芸術の関係を研究。

吉田寛(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
※「ars●bit」プロジェクト指導者
美学・感性学および表象文化論の専門家。デジタルゲーム研究の第一人者として、ゲームの美学的考察を行っています。
▼関連情報
■ars●bitプロジェクトについて
Beyond Creaters Project「ars●bit」は、2021年よりホテル アンテルーム 京都で毎年開催されている現代アート×インディーゲームの企画展シリーズ「art bit」と、2024年7月に東京・渋谷のShibuya Sakura Stageにオープンした新たなインディーゲームの聖地「404 Not Found」とが協働し、ゲーム/遊びを軸に、これまでにない分野横断型アーティスト/クリエイターの発掘・育成・グローバルチャレンジなどの支援を行っていく複合プロジェクトです。
このたび「クリエイター・アーティスト等育成事業(文化芸術活動基盤強化基金)」 に採択され、いよいよ本格始動する運びとなりました。「文化芸術活動基盤強化基金」は、文化庁からの補助金により、次代を担うクリエイター・アーティ スト等の育成と、その活躍・発信の場である文化施設の次世代型の機能強化に対して、弾力的かつ複数年度にわ たって支援するという目的のもと、独立行政法人日本芸術文化振興会に新たに設置された基金です。
本プロジェクトでは、国際交流拠点である渋谷と京都をホームに、アーティスト/クリエイター向けのセミナー・研究会やクリエイティブジャムなどを通じた作品制作支援、国内外での作品発表の場となる展覧会やイベント、さらには国際ゲームショウやアートフェアへの出展など多岐にわたる活動を通じて、日本発の新たなマーケットの開拓と文化コンテクストの醸成に挑みます。
主催:
一般社団法人渋谷あそびば制作委員会 / 404 Not Found
助成:
文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター支援基金)